ヤマハ株式会社
「感動を・ともに・創る」を企業理念に、音・音楽を通じて「世界中の人々のこころ豊かなくらし」を実現することを目指すヤマハグループ。楽器や音響機器などを主力とした事業展開により、分野を問わず多くの人々がクリエイティビティを発揮できる環境を作り続けています。
また、同グループではダイバーシティ・マネジメントの一環として、女性が活躍できる職場環境づくりを推進してきました。2021年には女性リーダーの継続的な育成・創出を目的とした「女性活躍推進部会」を設置。
さらに、女性社員の相談の場をつくりたい、自分らしいリーダーシップの発揮を後押ししたいとの思いから、2022年8月にヤマハ株式会社でMentor Forの「社外メンター」を導入。現在も継続的な取り組みを進めています。
今回は人事部 人材・組織開発グループの安永様、太田様、諸治様にサービスの導入による効果やメリット、今後に向けた展望などをお伺いしました。
Mentor Forのサービス導入背景
DE&Iをジェンダーの視点でみたとき、ヤマハは働きやすさという側面では平均勤続年数の男女差がなく、育休復帰率も100%を維持する等、一定の成果を収めてきました。しかし、ビジネス上のさまざまな局面における意思決定の場でもジェンダー平等が保たれているか、という点では改善の余地がまだまだあると考えています。
代表執行役社長の諮問機関である人材開発委員会に「女性活躍推進部会」を設置したのは2021年。当時、全社員の2割弱を女性が占めているにもかかわらず、女性の管理職比率は7%と10人に1人にも満たない状態でした。こうした背景から経営層・管理職層の多様性を高めるための全社的な取り組みが始まり、施策の1つとしてメンタリング制度の導入も併せて検討しました。
メンタリングに注目したのは、ギンカ・トーゲルさんの書籍で出会った「トークン」という言葉がきっかけでした。
トークンとは「象徴」という意味で、一般に、ある組織に占める割合が15%を下回っているとき、その少数派に位置する人たちのことをそう呼ぶらしいのです。トークンとして扱われる場合の問題は、たとえ個人の発言だったとしても属性全体を代表する意見として扱われてしまうこと。この少数ゆえの悪循環を知った時、ヤマハの女性リーダーはトークンに当てはまるかもしれないと感じました。
そこで、女性管理職に向けて「どのような課題を感じるか?」「会社からどのような支援を期待するか?」といった内容でヒアリングしたところ、約9割が「気軽に相談できる相手がいない」と回答しました。
女性社員・女性リーダーの相談場所をつくりたい。一人ひとりが自分らしい働き方、キャリア形成、自己成長を実現できるよう後押ししたい。そうした思いから、メンター制度を導入しました。
Mentor Forの選定理由
Mentor Forとぜひご一緒したいと思った理由は3つあります。1つは女性に特化したプログラムが女性リーダー育成という文脈にマッチしたこと。メンタリングではメンターとメンティーが協働するための関係構築が不可欠です。多様なバックグラウンドを持つ女性メンターが多数所属するMentor Forのサービスはとても魅力的でした。
2つ目は、社内メンターの育成支援をサービスとして提供されていたことです。私たち人材・組織開発グループでは「自走する組織づくり」という目標を掲げており、今後メンタリングを自社で拡大していく上で、社内メンターの育成も大事な観点でした。
3つ目、これが一番の決め手だったのですが、メンタリングの広い見識をもって当社の課題解決に伴走していただけると感じたからです。導入検討時、「大企業では半数がメンター制度を取り入れているものの、15%はその後廃止している(※)」というデータを知る機会がありました。
※DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー『あなたの会社のメンター制度はなぜうまく機能しないのか』
ヤマハでうまく機能させるためにはどうすべきか。頭を悩ませていたところ、Mentor Forの担当者からさまざまな解決策をご提案いただきました。お話を聞く中で、メンター制度の効果的な運営および定着させるためのイメージが描けたことから、ぜひ伴走をお願いしたいと思いました。
Mentor For導入の効果
2022年8月に導入し、『社外メンター』『社内メンター制度支援』2つのプログラムを継続的にお願いしております。
メンタリングでは「メンティファースト」の視点を大切に、それぞれのニーズに合わせ、主体的に考え選択できるよう自律的なキャリア形成を支援します。プログラムの概要説明をしたあと、対象者一人ひとりの意思を尊重し、参加の可否やメンターとのマッチングを進め、6ヶ月間伴走します。
導入効果として、自分らしいリーダーシップのマインドセットにつながったと実感しています。継続的なメンタリングにより、「私なりのリーダーを体現していけば良い、と前向きにアクセルを踏み出せた」「すでにあきらめていたキャリアについて再度考えるきっかけになった」「リーダーを目指す覚悟ができた」と、意識や行動の変化につながっています。
定量的な変化もありました。ToMo(Total Motivation)指数と呼ばれる総合的動機を測る社内調査では、開始前に比べて2倍以上の成果が見られたのです。仕事のやりがいや自身の成長、自己効力感を得られたという社員が増えた結果だと思います。
ほかにも象徴的な感想が届いています。「業務のさまざまな場面で、メンターからの教えを活かそうという考えが働くようになった」「半年間のメンタリングを終えたあともメンターの言葉が思い出され、メンターだったらこの課題にどう向き合うだろうか? と考えられるようになった」というのです。
長期的で本質的な変化が起きていると捉え、人事部としても非常に注目しています。
今後の展望
今後は性別や役職、あらゆる属性の垣根を取り払い、メンタリングを広げていきたいと考えています。Mentor Forのプログラムも3年目、継続的に実施する中で「次世代のリーダーを支えるため、今度は自分がメンターとなり話を聴きたい」という声もありました。今後も個々に寄り添い、一人ひとりのリーダーシップ開発を支援し続けたいと思っています。
Mentor Forは人数規模を問わず、メンター制度の導入を「小さく始める」ことを可能としたサービス・プログラムだと思っています。
私たちも初めは、女性活躍推進部会の役員5名で「まずは自分たちがメンターをやってみよう」という段階からスタートしました。さまざまなチャレンジができたのは、Mentor Forの皆様のサポートがあったおかげです。今後も継続的なご支援をいただければ幸いです。