【メンター×メンティ対談】キャリアを前向きに描く「多様な視点」を得られるのが「社内メンター」の良さ

女性社員の活躍や管理職登用、社内での多様なキャリアパスの実現などを目的に導入いただくケースが多い「社外メンター」と「社内メンター制度」。メンタリングを通して、社員の方々にはどのような変容が起こっているのでしょうか。

今回は、Mentor Forの伴走先である株式会社ブリヂストンにて、「社外メンター」によるメンタリングを受けたのち、「社内メンター」として活躍されている米元真希子さんへインタビュー。株式会社Mentor For取締役であり、公式メンターである宮本との対談形式で、メンタリングで相談する立場(=メンティ)として得た気づきや変化を伺いました。

  1. 社外メンターへの参加を希望した理由
  2. メンタリングを受けた感想
  3. メンタリングを受けて感じた変化
  4. 自身がメンターの立場になってからの気づき
  5. 今後の目標

社外メンターへの参加を希望した理由

—米元さんが社外メンターへの参加を希望した理由は何だったのでしょうか。

米元さん:今後のキャリアに対して抱えていた、言葉にならないモヤモヤを解消できるかもしれないと思ったのがきっかけです。

私は新卒でブリヂストンに入社して、開発部門に長く所属していました。ですが、「私はこのまま開発のエキスパートになるのだろうか?」「今の仕事は好きだけど、一生の仕事にしたいのか?」と考えたときに、そもそも自分はどうしたいのか、何に向いているのか、何に不満を感じているのか、全くわからなかったんです。ただ漠然と「このままでいいのだろうか」という思いだけがありました。

また、2人の子どもがいるので、もう少し家庭の時間も持ちたいとも考えていて。そう悩んでいたところで、予算管理などの後方支援を行う技術戦略部に異動になったんです。新しい職場で新しい視点、刺激を受けることができましたが、なかなかモヤモヤは消えませんでした。そこで、メンタリングを受けて今後のヒントをもらえればと思ったんです。

メンタリングを受けた感想

—メンタリングを受けてみての感想を教えてください。

米元さん:振り返ると、初回は「もっと社会や会社に役に立つ存在になりたい」と、大きなことを話していたと思います。もちろん嘘ではないですが、かっこつけて話していたというか、自分の本当にやりたいことがうまく言語化できてなかったんですよね。

宮本さんが、最後に「米元さんはこういうことをしたいんですね」と私のお話をまとめてくださったときに、全く心に浸透してこなくて「あれ?これって私の本音ではないかも」と違和感を覚えました。

宮本:メンタリングの初回は、メンターとメンティがお互いを知るフェーズです。米元さんの話を伺う中で、お仕事に対して真摯に前向きに取り組んでいらっしゃる様子が見えた一方で、心の中にあるモヤモヤや本音を、まだうまく引き出せていないなと感じましたね。

メンタリングを受けて感じた変化

—そうだったんですね。そこからどのように変化していったのでしょうか?

米元さん:初回の終わりに、宮本さんから「モヤモヤしたことを紙に書き出してみてはどうか」とおっしゃっていただいて。これまで日記をつける習慣もなかったのですが、少しずつ手帳に書き留めてみることにしました。

誰にも見せられないような、ふとした考えを書いていくうちに「私って、こんなこと思ってるんだ」と気づきがたくさんありました。そこでようやく、自分の中にあるモヤモヤや不満を言語化できた感覚があって。次のメンタリングからは、宮本さんにも吐き出せるようになりました。

2回目に「カレーを食べたい」と家族に言えない、という話をしました。私がカレーを食べたくても、家族や息子が「ハンバーグを食べたい」と言い出したら、そちらに合わせてしまうんです。自分の気持ちを素直に言えない。

カレーの例はささいなことかもしれませんが、こういった小さなモヤモヤが積もり積もって、自分の本音が見えなくなっていました。当時を振り返ると、人がどう思っているかに対してすごく敏感で、寄り添いすぎてしまうというか。セッションの中で、宮本さんからフィードバックを受けて、そうだと改めて気づいたんです。

宮本:その回で、米元さんから「他人軸で生きている」というキーワードが出てきましたよね。育った環境やご自身の性格などいろいろな要因があると思いますが、自分の本音を押し殺してしまっていて、でも本当はもっと自分を解放したくて、すごくもがいていらっしゃるなと感じました。

米元さん:確かに、もがいていたなと思います。これまで、家族にも勝手に遠慮をしてしまっていたなって。以前、キャリアコンサルタントの養成講座に通っていたのですが、家族に「講座を受けたい」と切り出すまでに半年もかかったんです。「子どもの世話を任せるのは難しいだろうな」「家族に迷惑をかけてしまうかも」と、いろいろ自分の中で考えてしまっていました。

宮本:それが3回目のときに、米元さんが「家族に、『もっと自分を大切にします』って宣言してきました!」とおっしゃって。内省が進み、モヤモヤを言語化したことで、ご自身の弱さをフラットに受け止められたのだなと感動しました。

おざなりにしてしまっていた自分の本音と向き合うために、まず一番近くにいらっしゃるご家族に思いを伝えられたのは、大きな一歩でしたよね。

米元さん:他人軸で生きていると「カレーが食べたかったのに家族が違うものを食べたいと言ったから、仕方なく合わせた」と、だんだん周りのせいにする思考になってしまいます。そんな自分がすごく嫌でした。メンタリングを通じて、「本当に変わりたい!」とエンジンが入った感覚があります。

びっくりしたのが「キャリアコンサルタントの講座に通ってみたい」と伝えたら、夫や娘が協力的に当時3歳の息子の面倒を見ると言ってくれたくれたことです。今まで一人で悩んでいたのはなんだったんだろう、と拍子抜けしましたね。本音を伝えたら、ちゃんと応援してもらえるんだなと実感できたのはすごく大きな出来事でした。

通学中は、娘に「すごく楽しそうだね」と言ってもらえたのもうれしかったですね。今では、私が勉強をしているときは「下の子の寝かしつけしておくね!」と協力してくれるようになって。

宮本:お母さんが楽しそうにしている姿は、ちゃんとお子さんに伝わるんですね。

自身がメンターの立場になってからの気づき

—米元さんは現在、メンティとしてメンタリングを受けた経験を活かして社内メンターとしても活躍されています。ご自身がメンターの立場になってからの気づきはありましたか?

米元さん:現在はブリヂストンの社内メンターとして、若手の社員3名とのグループメンタリングを実施しています。自分自身、メンタリングによって内省を重ねた結果、変われた感覚がありました。私もそういった人の変化に携わりたいと、社内メンターを希望したんです。

今まで仕事上の関わりがなかった方と話すことがほとんどですが、キャリアの悩みを聞くと、私も一度は経験していることが多くて。メンティの悩みに共感しながら、「私も当時つらかったけど、今思えばそのおかげで成長できたな」と、自分の内省も進んでいく不思議な感覚があります。メンタリングって、メンターにもメンティ双方の成長や変化につながるんですよね。私の失敗談や乗り越え方が役に立ったらうれしいな、と思いながら対話を重ねています。

宮本:支援の過程で感じるのは、社員の方々の会社や仕事に対するロイヤリティの高さ。それゆえに、つい頑張りすぎてしまったり、悩みを1人で抱えてしまったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

会社の風土や実際の業務をよく理解している先輩に悩みを打ち明け、自分だけではなかなか気づけない視点を得られるのは、社内メンター制度の良さですよね。米元さんは、本当にメンティの方々に寄り添い、この取り組みを盛り立ててくださっていると感じます。

米元さん:ありがとうございます。宮本さんをはじめ、Mentor Forの皆さんのお力添えや、社内人事のサポートがあるからこそ、楽しみながらメンター活動に取り組めています。

社内でロールモデルが見つからないと、今後のキャリアについて前向きなイメージが持てないという方も多いと思います。以前の私もそうでした。

メンタリングでの対話によって、部署を超えてさまざまな社員の価値観やキャリアパスに触れられると、「私もこういうふうになりたい」「この先輩を目指したい」と、今後のキャリアをより鮮やかに描きやすくなると感じます。誰もがその人らしいリーダーシップやキャリアを発揮できるように、多様的な視点を得られることがメンタリングの最大の魅力ですね。

今後の目標

—素敵なお話をありがとうございます。最後に、米元さんの今後の目標をお聞かせください。

米元さん:これからもメンター活動を通じて、まずは目の前にいるメンティ一人ひとりの支援をしていきたいと思います。この取り組みが、ゆくゆくは組織全体に浸透していったらうれしいですね。

私自身も、ブリヂストンで「この職種を極めたい」「こんなキャリアパスを歩みたい」という確固たる目標を描く途中にいます。ただ、メンタリングによってこんな可能性もある、あんな可能性もあるんだと気づけました。以前の私のように、今後のキャリアにモヤモヤしている社員に、新たな気づきや選択肢をもたらせたらうれしいですね。

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株式会社ブリヂストン
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