アビームコンサルティング株式会社
日本発、アジア発のグローバルコンサルティングファームとして、経営戦略立案から、その戦略の実現を進めるデジタル改革までを幅広く支援し、企業・組織の変革を推進するアビームコンサルティング株式会社(以下、アビーム)。
代表取締役社長・鴨居 達哉様は、「アビームにとって、最大の資本は“人材”」と語ります。支援先の顧客企業のパートナーとして、その期待に応えるべく、全社員が高いコンサルティング能力とプロフェッショナリティを持っている点が最大の強みです。一方で、それゆえにリーダーシップのあり姿が画一化してしまうという危機感も強く、特に女性リーダーの育成は重要なテーマでした。
アビームが「女性リーダーの育成」を人材戦略の重要な一要素に据えた背景や、Mentor Forによる社外メンタープログラムの導入理由、そしてアビームが目指す未来について、鴨居様と 社内でDIIプロジェクトを推進している井口様、住友様、吉田様に伺いました。
Mentor Forのサービス導入背景
鴨居氏(以下、敬称略):
ビジネス環境の変化が激しく、そのサイクルも短い中、プロジェクトを通じお客様のビジネスを成功に導くのが我々コンサルティング会社の使命です。先行きが不透明で「こうしておけば安心だ」という正解もない状況下で、新たな価値観と世界を創造していく。私たちはいま、従来の延長線上にはない挑戦をしているといっても過言ではありません。
この難しい課題を乗り越えるためには、コンサルタント一人ひとりが固定観念にとらわれない発想力や多面的なものの見方・考え方を身に付けることが必要だと思っています。コンサルティング会社は人材が最大の資本。多様なバックグラウンドをもつ人たちが生き生きと活躍しながら、多様な意見をビジネスに活かしていく、まさにDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を体現する組織にしていかなければなりません。
その人材戦略の第一歩として、まず取り組むべきは女性リーダーの育成だと考えました。自社を見ると、女性の活躍の機会は男性と比べると広がっているとはまだまだ言い難い状況です。特にリーダー層の人材が不足しており、ロールモデルとなっていただける方たちもまだ多くありません。現在のシニアコンサルタントがマネージャー、シニアマネージャーにステップアップしていくサイクルを加速させるために、一刻も早く全体の人材プールを厚くしていかなければならないと危機感を抱きました。私がCEOに着任する前から、会社として女性リーダーの育成には取り組んではいましたが、よりスピード感をもって根づかせていきたいという背景がありました。
Mentor Forの選定理由
事務局の皆様(以下、事務局):
他サービスと比較検討した上で、Mentor Forに女性リーダー育成の取り組みを伴走していただきたいと思ったポイントは3つあります。
1つ目は、事業会社だけでなく我々と同じコンサルティング業界への支援実績があり、より信頼性があった点。2つ目は、社外メンターの方々の質の高さと経歴の多様性が魅力的だった点。そして3つ目は、当社の課題や悩みに対して丁寧かつ柔軟に対応いただけた点です。
社内のコンサルタントは支援先の顧客企業がそれぞれ異なることもあり、メンタリングセッションを一律に組みづらいのが難点でした。そんな中でも、Mentor Forの皆さまは事前相談の段階から非常に寄り添ってくださり、メンティである女性社員ごとに柔軟なスケジュールをご提案いただけました。Mentor Forにならお任せできそうだという期待感と安心感をもてました。
Mentor For導入の効果
鴨居:
2021年より、女性シニアマネージャー20名強を対象に、Mentor Forの社外メンターによる1on1を実施しています。彼女たちの先輩は役員クラスであり、母数が相当限られるため、多様性に乏しいという状況があります。社内でのキャリアのネクストステップを考えたときに、選択肢のイメージも狭まってしまうのではないかと懸念しました。そこで、彼女たちに対しては、「社外メンター」という形で外部から知見をお借りしてフォローをしようと施策を進めていくことにしたのです。
「社内ではなかなか話しづらい悩みも打ち明けられた」
「メンターとの対話によって、自分の強みやスキルに気づけた」
「次のステップに挑戦するにあたって背中を押してもらえた」
メンタリング実施後、メンティ1期生のシニアマネージャーたちからはこのような前向きなコメントが次々に寄せられました。
女性社員に限らず、アビームのコンサルタント全員に共通するのは、これまで脈々と受け継がれてきた風土や慣習にのっとり「コンサルタントとはかくあるべき」「アビームのリーダーたる者としてこうあるべき」と意識を高く持ち、仕事に対するコミットメントが非常に高い点です。
クライアントを成功に導く上で欠かせないマインドである一方、ライフステージの変化に伴って時間の制約が生まれても、ハードワークで無理をしすぎてしまうというケースも発生しました。
それがメンタリングの実施によって、仕事にコミットする従来のやり方だけではなく、新たな価値観やフレキシビリティをもって仕事に臨めるようになってきているという点がメンタリング実施後のアンケートから読み取れ、それが浸透していけばと思っています。
事務局:
特に女性社員は、ライフイベントの発生に伴って「仕事に100%コミットできなくなってしまうのではないか」「私が上のポジションを目指していいのか」と、自らキャリアにブレーキをかけてしまう場面が少なくないのではないでしょうか。
Mentor Forの社外メンターの方々には、女性シニアマネージャーが抱えるキャリアの悩みに、同じ目線で寄り添って問題をひもとき、本人が解決の糸口を見つける支援を行っていただいています。社外の方ならではの視点で新たな気づきを与えて頂いている点が非常に心強いです。
今後の展望
事務局:
まずは、社内において女性の活躍の場を広げていくこと。その中で彼女たちが自発的にリーダーを目指し、手を挙げられるような風土づくりを実現したいと考えています。
アビームでは、「2023年度末までに女性管理職比率16%を達成する」という目標を掲げています。しかし現状の見通しでは、達成は決して容易ではありません。Mentor Forによるメンタリング実施を通じて、メンティがキャリアにおける新たな気づきを得て成長する、メンタリングのメソッドを習得してマネジメントや人材育成に活かす、という良いサイクルをいかにつくっていけるかが今後の命題です。また、自社での「社内メンタリング」運用を視野に入れ充実させていくことも検討しています。
鴨居:
とはいえ、数値目標を達成することが最終的なゴールではありません。実現に向けてのさまざまな努力は全て、女性の活躍の場面を広げることにつながると信じ、まずは仕組みづくりをしっかりと行っていきたいと考えています。そうすれば、必ず結果はついてくるでしょう。
DE&Iを推進する中で、もちろんジェンダーの問題は考慮すべき大きな要素です。しかし、ジェンダーのみならず、ナショナリティや世代、今までの経歴なども含めた上で、多様な人たちに当社でどのように活躍いただけるかも同時に考えていかなければなりません。視座を高く持ち、アビームのありたい姿を実現していくことを目指します。
実現のために解消していかなければならない課題は、社外でも共通する一般的なものと、アビーム特有のものと、どちらも存在すると思います。Mentor Forの皆さまには、その点もふまえて今後も「アビームとしてこういう事に取り組んだらどうか」という積極的な提言をぜひいただければ幸いです。