富士通株式会社

(写真左から)Talent Success部 川森様、マネージャー中尾様、Japanリージョン人事部 問様、シニアマネージャー野村様

1935年創業の富士通株式会社。ICTサービス市場で国内No.1、世界でNo.8の売上(※)を誇るグローバル企業です。

約400社のグループ会社と連携をしながらグローバルなサービス体制を築き、2008年にはダイバーシティ推進のための部署を設置。以来、富士通グループはDE&Iの推進に力を注いできました。

2023年5月に発表された中期経営計画では、2025年度の非財務領域目標として、従業員エンゲージメントの向上と女性幹部社員(ダイバーシティリーダーシップ)比率の向上が掲げられています。

これらの目標達成に向けた施策の1つとして今回導入されたのが、Mentor Forの「1on1メンタリング」「L&Mプログラム」です。取り組みの背景から展望に至るまでを、Talent Success部中尾様、川森様、Japanリージョン人事部野村様、問様にお話を伺いました。

※…Source: Gartner Market Share: IT Services, Worldwide 2020, Dean Blackmore et al., 8 April 2020 (based on vendor revenue 2020)

  1. Mentor Forのサービス導入背景
  2. Mentor Forの選定理由
  3. Mentor For導入の効果
  4. 今後の展望

Mentor Forのサービス導入背景

川森様(以下、敬称略):2023年5月に富士通の中期経営計画が発表されました。そこではDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の目標も掲げられています。

大きく2つの目標に分かれ、1つは従業員エンゲージメント・サーベイによるDE&I関連設問の肯定回答率向上、もう1つが女性幹部社員比率の向上です。

後者については、2025年度までに連結15%(22年度実績)から20%へ引き上げる計画となっています。最終的に目指すことはDE&Iの文化が根付くことで、その1つとして、数値目標の達成もあります。

中尾:従業員エンゲージメントの向上についても、多様性を意識した働き方を推進する必要があります。これまでは、富士通グループ内での勤続年数が長い者が上位役職に就くことが多く、それに伴って組織の価値観も固定化し、多様性が生まれにくい状況がありました。

野村:SIビジネスを中心に展開してきた富士通では、従業員の男女比率において、男性が多い特徴があります。業務の特性から長時間残業を前提とした働き方が主流だった時期が長く、働き方の多様性も十分とは言えない状況でした。

:仕事と子育ての両立をしながら活躍するロールモデルも少なく、女性が責任あるポジションを目指すには環境も不十分。そこで、社外で活躍する女性からメンタリングを受けることで、働き方やキャリアに関する新たな発見に繋がればと考えました。

上位役職だからといって「こうしなければ」という固定概念に縛られる必要は、本来はないはずです。

Mentor Forの選定理由

川森:決め手となったのは次の3点です。

①女性に特化したメンターラインナップが充実していた。②マッチングにあたり、事前面談やフォローアップの体制が充実していた。③大手企業へのプログラム提供実績があり自社との親和性が感じられた。

特に「女性に特化したメンターラインナップの充実」は、弊社の課題解決のためにも非常に重要なポイントでした。複数社を検討する中で、多様性ある女性のロールモデルを求める上では、Mentor Forのプログラムが今回の目的にもっとも適うと感じました。

野村:富士通は今、ビジネスそのものが変わるタイミングです。女性活躍の推進によって、企業全体に大きなインパクトを起こせると考えています。

具体的には、SIビジネス中心の事業からDX企業として社会課題の解決を目指すほか、地球環境やウェルビーイングの向上に焦点を当てたビジネスも誕生しています。こうした変化の中では、女性を含めた多様な立場からの考え方を取り入れることが有効です。

少なくとも男性だけがビジネスの意思決定に入る状況では、本当の意味で社会に対する価値を提供できないと思っています。

Mentor For導入の効果

川森:2022年12月にキックオフがあり、社外メンターによる「1on1メンタリング」を2023年の2月から4月末まで試験的に実施しました。1人当たり60分、全3回のメンタリングが受けられる仕組みです。

対象候補者は、将来を期待される次世代リーダーと各本部からの推薦者です。マネージャークラスに相当する20名の女性幹部社員の名が挙げられ、そのうち13名が自らの希望で参加をしました。

加えて、他社のリーダーと交流できる「L&M(Leaders&mentors)プログラム」にも数名が参加しています。

:期待する効果として今回2つの指標がありました。1つは13名の女性幹部社員が、自身のキャリアやマネジメントについて相談することで悩みなどが解決すること。これについてはアンケート結果からも「新しい視点をもらえた」などの高い評価が集まりました。

2つ目の指標は、参加メンバーのメンタリングスキル向上です。というのも、弊社では2022年の秋頃から社内メンター施策もスタートさせており、社外メンターとの「1on1メンタリング」を通じて、技術力を向上させたい考えもありました。

これについても、会話の引き出し方やポイント整理の方法など「大変勉強になった」との声が寄せられています。

野村:プロの技術を体験することは非常に大切です。メンタリングは、理論を学んでいても体感が追いつかなければ実践では使えません。何よりも、メンタリングに関する「教育を受けたプロの方」と接する機会は非常に貴重です。

今はMentor Forのプログラムを通して社内のメンタリング技術が向上し、それがまた色々なレイヤーの従業員に繋がっていけば嬉しいなと考えています。

今後の展望

川森:今後目指したいのは、社内にメンタリングが浸透し、自発的に運用がされている状態です。富士通の文化として定着することで、従業員エンゲージメントの向上が期待できるほか、自身のキャリアを見直す機会も得られるのではと考えています。

野村:富士通の人材戦略の1つに「キャリアオーナーシップ」の考え方があります。従来、会社主導の昇格・異動、また教育についても一律で機会を用意してきましたが、これを「自ら手を挙げて新たな仕事に挑戦する」「新たなポジションに必要な知識や技術は自ら学ぶ」という風土への転換に取り組んでいます。
能動的に自分のキャリアを描くには、社外の視点を取り入れつつ、あらゆる角度から本人に考えるきっかけを与えることが大切です。一人ひとりの意識が変わることで、本当の意味でのキャリアオーナーシップの文化が定着すると考えています。

:社内のメンター制度が充実すると、比例してメンター(相談に乗る側)の悩みも増えるはずです。だからこそ、メンターのスキル向上や悩みに寄り添い伴走する存在が必要になってくると考えます。その際には再びお力を借りられたらと思います。

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